連載 かさぼうがゆく! 第3話(全3話)

第3話

ここはいったい…?宮津のおっちゃんに引っ張られて連れてこられた場所は、なんだかすごく大きな建物。京都府農林水産技術センター海洋センターって何?広い事務所の中に大勢の大人の人が机に向かってお仕事してる。
かさぼう、海洋センターの藤原さんという方にお話を聞く事になったよ。なんでも藤原さんは、昭和55年ごろから丹後とり貝の育成方法を研究してきたおじさんなんだって!

丹後とり貝の40年

藤原さんがおっしゃるには、とり貝を育てる研究は昭和40年代からされているんだって。丹後の海はもともととても良いとり貝が獲れる場所だけど、天然のものは沢山は獲れないそうで、なんとかして育てる方法がないか、ずっと研究されてきたんだ。
稚貝を育てる研究に始まり、何度も放流する実験をしたんだって。けど、とり貝はとっても成長が早い貝で、自分の殻の防御を犠牲にしてまで大きくなろうとするから、他の生き物に食べられて残らなかったんだ。


写真提供:京都府海洋センター

ずっとずっと糸口が見えないまま進んでいた丹後とり貝の研究。調べていくと、コンテナを海中に浮かせて中層で飼うのが一番いいことは分かったけど、どういう砂の中で育てるのがいいのかが分からなかったんだって。浜の砂を入れたり、園芸用の土を入れたり…。
そして、どれもこれもダメだった末の、運命の出会い!それが、宮津のおっちゃんが言っていた「アンスラサイト」だったんだね!

世界初の発見!「アンスラサイト」

アンスラサイトというのは、アワビとかサザエとか、海の物を育てる時に海水を濾過(ろか)するために使う濾過材のことなんだって。それが丹後とり貝を育てる砂の代わりになることを発見!アンスラサイトは炭素の塊で無害なものだったから全く問題がなく、とり貝の成長に最も適していたんだって。
こうして発見されたとり貝の育成方法は、なんと世界初、ここにしかない技術として開発されたんだよ。この方法で自然の海の中で育てれば、丹後とり貝のように、全国でも珍しい大きさに育つんだ。

でも技術だけができても、それを活用して育てるのは実際の漁師さんたち。その方法をみんなが勉強して、育てられるようになるにはまた苦労がたくさん。技術は完成していても、水温が思ったより高くなったり、台風がやってきたりと自然環境はいつも変わるから、昨年と同じ方法でうまくいかないこともしょっちゅうだったんだって…。
それでも藤原さんは、研究に携わってそれが一つの形になったことを、とても嬉しそうに話してくれたんだ。今後、生産者さん(漁師さん)たちにもさらに恩恵がまわるようになったら嬉しいって。


写真提供:京都府海洋センター

一つのもの、関わる人はたくさん

丹後とり貝1つをとっても、それに関わっている人がたくさんいて、みんなそれぞれの場所で苦労しながらやっているんだなあ。本当に勉強になったよ。丹後とり貝に関わる人たちのお仕事が、これからもうまくいくといいね!
と、宮津のおっちゃんに言ったら、「まだまだ勉強が足りぬ」って言われちゃった。ふぬー!こんなに勉強したのに、まだまだなの?すると、「それだけではあかんのや、だから地産地消なんや!」と。

地産地消の努力は みんなへの恵み

宮津のおっちゃんは、こう言うんだよ。「宮津で育てた丹後とり貝を、宮津で食べてもらう。そのために旅行者が宮津まで来てくれる。そうしたら、とり貝に関わっている人たちだけじゃなく、観光や他の仕事にも恩恵がある」って。
かさぼうは、それでやっと分かったんだよ。一番はじめに、宮津のおっちゃんが地産地消って熱く語ってたこと。かさぼうは、丹後とり貝に関わる人たちの努力をたくさん見てきたけど、その努力は見えないところで、他の人のためにもなるんだね!

かさぼう、いっぱい勉強になったけど、もっともっと知りたいことが出てきたなぁ!あ、でも今日はもう疲れちゃったし、そろそろ勉強したごほうびに、宮津のおいしいお料理を食べに行きたいなあ。次の勉強は、そのあとでも…いい?

おしまい

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